桜舞い散るとき、キミは涙する
振り返った先にいる先生の顔に、笑顔はない。
苦しげに細められた瞳には、苦悩の色が濃く浮かんでいる。
「あの……?」
「……っ」
しばしの沈黙。
けれど、明らかに何かを言おうとして、ためらっているのがわかる。
どうしたんだろ?
「先生?」
私が首を傾げて小さく呟くと
「いや、すまない。何でもないんだ」
「でも……」
「引きとめてしまって悪かったね」
そう言って苦笑した。
先生、何を言おうとしたのかな……。
清水君も先生も、私に何かを隠している。
そしてそれが『ミオ』に関することなのは、もう疑いようがなかった。