桜舞い散るとき、キミは涙する

* * * * * *


「用事って何だろう……」


保志君と会ってから3日後。

再び彼からメールが届いた。


『明日の放課後、会えませんか』


またしても会いたい理由がわからない、簡潔なメール文。

もしかすると、普段あまり友達と、メールをしないタイプなのかもしれない。


それにしても、まさかまた会えるなんて思ってもみなかったな。


正直、3日前に気まずい雰囲気で別れてしまった為、今度こそもう会うことはないだろうと覚悟していた。


その夜、勇気を出してお礼のメールを送った時も


『いえ。お大事にして下さい』


返って来たのは、形式ばった1行メール。

完全に嫌われたと思っていた。


この3日間、どん底の気持ちで過ごして来ただけに、夕べメールを貰った時は天にも昇るほど嬉しかったけど……。


期待してはダメと、頭の中で警告音が鳴り響く。


だって現実はいつも残酷で、期待外ればかり。

保志君と出会ってから、嫌というほど味わってきた。

できればもう、そんな悲しい思いはしたくない。


期待しちゃダメ。期待しちゃダメ。


自分に言い聞かせるように、何度も心の中で唱える。

そうして複雑な想いを抱えつつ、待ち合わせの最寄駅へと急いだ。
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