桜舞い散るとき、キミは涙する

何だろ?これ……。


反射的に顔を上げ、目をパチパチと瞬かせる私に


「余計なことかもしれないけど。よかったら使って」


紙袋を差し出したまま、保志君が呟く。


緊張で微かに震える手を伸ばし、紙袋を受け取ると


うわ!結構重い。


思いのほかズシリとした重みに驚き、慌てて紙袋を胸に抱え上げた。


ドキドキしながら中身を覗く。

すると、数冊の本らしき物が見えた。


本?保志君のオススメ小説とか?

でも私、読書が好きなんて保志君に言ったっけ?


記憶の糸を辿ってみても、やはりそんなことを話した覚えはない。


わけがわからず、そのうちの一冊を手に取ってみる。


「っ!これって……」


本の表紙には『数学A徹底解説』と記されていた。
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