桜舞い散るとき、キミは涙する
「あの……本当にすみませんでした」
今にも消え入りそうな声で、そう何度も謝る彼に
「い、いえ! 大丈夫ですから」
大袈裟なくらい顔を左右に振って答える私。
なんで私、こんなに動揺してるんだろう?
青白い顔色の彼。
対照的に、火が出そうなくらい真っ赤に紅潮している自分の顔が、ものすごく恥ずかしい。
それにこの暑い中、これ以上親友を待たせるわけにもいかない。
でも、もうちょっとだけ、話してみたかったな……。
一瞬名残惜しさを感じたものの
「それじゃ」と彼に軽くお辞儀をする。
そしてもう一度目に焼き付けるように彼の顔を見つめると、後ろ髪を引かれる思いで私はその場をあとにしたのだった。