桜舞い散るとき、キミは涙する
「う~む。なるほどね~」
話を聞き終えた佳奈が、複雑な表情でうーんと唸る。
首をひねりながら顎を人差し指でさすると「なんかさ~」と、不満そうに呟いた。
「秀才君と壁を作ってるのは、実紅のほうなんじゃない?」
「え?」
私が壁を作ってる?
思いがけない佳奈の一言に、おもわず箸を動かす手が止まる。
「だってさ~、いくら住む世界が違うって言ったって単なる医者の息子でしょ?
相手が皇族とかならさすがに無理だけど、親が医者なんて、この世に腐るほどいるって」
「う……ん。そりゃ、まぁ……」
「それに話を聞く限り、秀才君のほうは実紅に対してすっごく優しいし平等じゃん。
むしろ差別してるのは、実紅のほうだと思うけどなぁ」
「私が……原因……」