桜舞い散るとき、キミは涙する
そんなこと、思いもしなかった。
だって、あまりにも私と保志君の環境が違い過ぎていたから……。
驚きのあまり、ただただ呆然とする私。
そんな私の背中を、突然佳奈がバンバンと勢いよく叩いてきた。
「そんな顔しないの!べつにまだ秀才君にフラれたわけじゃないんだから」
「でも……」
「実紅の恋は、まだ始まったばっかなんだよ?何もかもこれからじゃん。
いっぱい考えて、いっぱい悩んで、いっぱい頑張って……。
諦めるのはそれからでも遅くないと思うけどな」
そう言うと佳奈は『頑張れ』というようにニッコリ笑って、もう一度私の背中を叩いてくれた。
「さ!早くお弁当食べちゃおう!もうすぐお昼休み終わっちゃうぞ」
「佳奈……。うん、そだね」
佳奈の優しさが心にしみて、胸がジンと熱くなる。
さっきまで味がしなかったお弁当の味も、今度は少しだけ美味しく感じられた。