桜舞い散るとき、キミは涙する
ちなみに、『ミオ』を知る人物で私が面識があるのはたったの3人。
まず1人目は保志君本人。
けれど今までの素振りからして、保志君が私に話してくれるとは到底思えない。
2人目は保志君のお父さん。
優しくて話しやすかったけれど、多忙なお医者さんに時間をさいてもらうのもなんだか申し訳ない。
それになにより、保志君にバレずに会うこと自体難しいだろう。
そうなると残るはただ1人。
その人物に会うため、午後の授業をサボりわざわざここまでやって来たのだ。
「またね~!」
「バイバーイ」
チャイムが鳴って間もなく、次々と校舎から生徒達が出て来た。
「なんかドキドキしてきちゃった」
なんともいえない緊張感と不安が、徐々に膨らんでいく。
考えてみれば、面識があるとはいえたったの一度だけ。
それもたかだか数分だ。