桜舞い散るとき、キミは涙する
「顔を見れば多分わかると思うんだけど。なんだか自信なくなってきたかも……」
待ち人を見逃さないよう、必死に目を凝らし1人1人顔をチェックしていく。
そんな私の瞳に映るのは、知的な雰囲気の生徒達。
更に女子生徒にいたっては、制服のフレアスカートの丈が完全に膝丈に統一されており、もちろん茶髪の生徒など1人も見当たらない。
まさに『清楚』を絵に描いたような子達ばかりだった。
「なんか、世界が違う……」
自分が知る高校生達とのギャップに、おもわず一歩後(あと)ずさる。
「制服で来なくてよかったぁ」
さすがに制服姿で待っているのは目立つと思い、私服に着替えてはきたものの。
それでも自分が浮きまくっている気がして、突如心配になってきた。
「なるべく地味な服選んだけど、根本(こんぽん)からしてやっぱ何か違う」
万が一に備えて保志君への顔バレ防止のために、季節外れのマスクまでつけてきたけれど。
かえってそれも逆効果だったかもしれない。