桜舞い散るとき、キミは涙する
「なんでこんな顔なんだろ」
今まで一度もそんなふうに、思ったことなんてなかったのに。
正直今は、自分の顔が恨めしい。
美人じゃなくても、せめて美桜さんに似てさえいなければ、保志君の力になれたかもしれないのに……。
今の私にできるのは保志君を諦めることだけだなんて。
そんなの、あまりにも悲し過ぎるよ。
たまらなく虚しくなって、鏡の中の自分にデコピンする。
「でも……この顔じゃなかったら、保志君と出会う事すらできなかったんだよね……」
それもまた否定できない事実なわけで。
いっそ出会わなければ……と思うこともあるけれど。
やっぱり『好き』の気持ちが大き過ぎて、その想いにはどうしたって敵(かな)わない。
「真実を知れば、諦めもつくかなって思ったのにな」
自分の気持ちなのに、全然思い通りにならない。
恋って本当に難しい。
どうすることもできない想いを胸に抱え、私は再び大きなため息をついた。