桜舞い散るとき、キミは涙する
◇二番目の覚悟
* * * * * *
それから更に2週間ほど経った日曜日。
お昼まででバイトを終えた私は、保志君が住む街へ1人で買い物をしにやって来た。
保志君と初めてこの街で会ってから、もう1ヵ月かぁ……。
あんなに厳しかった残暑もすっかり鳴りをひそめ、ひんやりと涼しい秋風が頬を撫でていく。
周囲を見渡せば、10月に入ったこともあり、長袖姿の人達が目につくようになっていた。
ここで保志君に呼び止められたんだよね。
初めて会った場所で足をとめ、腕に目を落とす。
あの時つかまれてできたあざはすっかり消えてしまったのに、保志君への想いは日を追うごとに、益々色濃くなっていた。
偶然なんて、そうそうあるわけないか……。
実は買い物なんていうのは単なる名目。
内心は保志君に会いたくて会いたくて。
この街に来ればもしかしたらまた会えるかも……。
してはいけないそんな期待を胸に、この街を再び訪れたのだった。