桜舞い散るとき、キミは涙する
ウソみたい!本当に保志君にまた会えちゃった!!
駅へと急ぐ人達の間を縫うようにして、歩道橋の階段を夢中で駆け上がる。
徐々に激しさを増している雨も、今の私にはこれっぽっちも気にならなかった。
「はぁっ……はぁっ……」
乱れた息を整えるために、階段を上りきる一段手前で立ち止まる。
破裂しそうなほどドキドキと高鳴る心臓。
胸に手をあて、落ち着かせるように深く一度深呼吸をする。
そして私は、最後の一段をゆっくりと踏みしめた。
いた!
ここからでは顔は確認できないけれど、好きな人だからなのか、不思議とそれが保志君だという確信がある。
恋の力って本当にすごい。
保志君は先程と変わらず、歩道橋のちょうど中ほどに佇(たたず)んでいた。
たまらず保志君に駆け寄る私。
「っ!?」
けれどその途中、私の足がピタリと急停止した。
思いがけない彼の横顔を見てしまったからだ。