桜舞い散るとき、キミは涙する
── 『この世界から消えたいと思ったことないの?』
その瞬間、不意に脳裏をよぎった彼の言葉。
言いようのない不安が、体中を駆け巡る。
まさか……いくらなんでも、保志君がそんなことするわけないよね……。
拭(ぬぐ)い切れない嫌な予感に、頭の中の警告音が鳴り止まない。
そんなわけない。そんなことするわけ……。
でも……。
どうしようもない不安を断ち切るように、ブンブンと頭を左右に振った時
「っ!!」
保志君が更に一歩踏み出し、歩道橋の欄干(らんかん)に手をかけた。