桜舞い散るとき、キミは涙する

「だめーっ!!」


叫んだのとほぼ同時だっただろうか。


とっさに私は、保志君に向かって飛び付いた。


ドスンという鈍い音と共に、重い衝撃が全身を貫く。


「……っつ」


あちこち痛む体に、ハッと我に返った私は、閉じていた目を恐る恐る開いた。


目の前には、私と折り重なるようにして地面に倒れ込んでいる保志君。


弾かれたように慌てて上体を起こすと


「うっ……」


短いうめき声を発し、保志君がゆっくりと起き上がった。


「真咲……さん……?」


ようやく私の存在に気付いた保志君が、地面に座り込んだまま、驚いたように目を見開く。


「どうしてここに……」

「バカっ!!」


状況が飲み込めないらしい保志君の言葉を、私の悲痛な叫び声が遮(さえぎ)った。
< 91 / 111 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop