桜舞い散るとき、キミは涙する
「だめだよ!保志君がいなくなったら、みんな悲しむよ」
こんな大事な時に、月並みな言葉しか言えない自分が、ものすごく腹立たしい。
「君には関係ない」
そんな私を突き放すように、保志君が冷たく言い放つ。
彼の言葉が鋭い刃のようにグサリと胸に突き刺さり、二人の間に一線を引かれたような気がした。
こんなの違う。こんな保志君、見たくないよ……。
何もできない自分が悔しくて、拳(こぶし)を強く握りしめる。
バカで無知で貧乏な私にできることなんて、きっと高が知れてる。
私の気持ちが、保志君にとってはありがた迷惑だってことも、もちろんわかってる。
けど……それでも私は、この人に笑ってほしい。
保志君に、笑顔を取り戻してほしい。