桜舞い散るとき、キミは涙する

それからどれくらい経っただろうか。


保志君は私を拒絶するでもなく、今も変わらず無言で座り込んでいた。

もちろん私に抱きしめられたまま……。


寒い……。


容赦なく降り注ぐ大粒の雨に、すっかり冷えきってしまった二人の体。


保志君にくっついているとはいえ、さすがにこれだけ濡れると、体温がどんどん奪われていく。


それでも彼に、少しでも温もりを思い出してほしくて。


私は尚も強く、彼を抱きしめ続けた。


「っ!?」


不意に背中に何かが触れたのを感じて、ビクリと体が小さく跳ねる。


初めは戸惑うように触れていた、その『何か』は、やがて私の背中を包み込み、力強く引き寄せてきた。
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