桜舞い散るとき、キミは涙する

もしかして私…… 今、保志君に抱きしめられてる!?


「保志君……っ」


自分という人間がようやく彼に受け入れてもらえたような気がして、たまらず口から彼の名がこぼれ落ちた。


私の想いに応えるように、更に強く私を抱きしめる保志君。

指先の震えが、背中を通して伝わってくる。


「もう、俺から離れるな……っ。
ずっとそばにいてくれ。ミ……」


保志君の掠れた声が、耳もとをかすめる。


「うん……。うん……っ」


保志君の言葉が嬉しくて、私は何度も何度も大きく頷いた。



けれど、最後に彼が呟いた名前が『ミク』だったのか、それとも『ミオ』だったのか……。


激しい雨音にかき消され、私には聞き取ることができなかった……──
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