この恋が罪だとしても



「優しいんだね、泉くんは……」

「は?こんな時に何言ってんだよ……」

「だって、私は泉くんの大切な人を……傷つけたのに、優しくしてくれる」


触れられる手が、温かい。

好きな人に触れられるのは、こんなにも幸せなんだ。


「……俺の大切な人……か」

「泉くん?」


そう言って、泉くんはなぜか遠い目をしていた。

私は、そんな泉くんに首を傾げる。


「……雪乃は、俺のことなんて好きじゃねぇ」

「……泉くん……」


それは、記憶を失う前の北園さんから聞いていたから、知っていた。

それに、泉くんまで気づいてるとは……思わなかったけど。



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