この恋が罪だとしても



「俺は、自分には無い明るさを持ってる、雪乃が好きだった……」


――ズキンッ。

痛い……。

泉くんが、北園さんを好きだっていう事実が。

その痛みに、何度も泉くんへの想いに気付かされるから。


「心が通じ合ってないって分かってても、傍にいたかったんだよ、バカみてーだろ」


その自嘲的な笑みに、胸が抉られるように痛む。

その痛みを、私は誰よりも理解出来たから……。


「……バカ……なんて、そんな風に自分を責めないで」

「雨音……。責めてるわけじゃねー、でも……何が正しかったんだろうって、いつも考えてる」


何が正しいなんて……誰にも分からない。

それは……人の心が予測不能なものだから、人の数だけ正義があるから。

答えなんて、誰にも分からないんだよ……きっと。



< 150 / 262 >

この作品をシェア

pagetop