この恋が罪だとしても



「泉くんと、こうやってまた話せる日が来るとは思わなかったな」

「雨音……?」


雨の日、初めて泉くんと話した時のことを思い出して悲しくなった。

私たちは、きっと出会うべきじゃなかった。

そうすれば、泉くんから離れることがこんなに辛いなんて、知らずに済んだから。


「……あの時は、謝ることすら無責任だって思って言えなかったけど……」


私は、泉くんから1歩離れて、まっすぐに見つめる。

そして静かに、深く頭を下げた。


「ごめんなさい……そして、さよなら」


……さよなら、私の大好きな人。

ずっと伝えたかった「ごめんなさい」を、やっと言うことが出来た。



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