この恋が罪だとしても
【晴希side】


雨音と白石が音楽室を出ていくと、俺一人がその場に取り残された。


『うん?そんなの決まってるじゃん……梓が好きだからだよ』


白石……何かと雨音のことを気にかけてたのは、そういうことか。

普通に考えれば、白石の雨音への接し方だけは他の人間とは違った。

白石は人当たりが良さそうに見えて、誰も信じていないような、冷たい目をしてる。


でも、雨音にはコロコロと表情を出してたしな。


『泉クン、本気じゃないなら、俺が貰うよ?』


っ……クソッ……。

なら、白石は雨音のことを本気で好きってことだ。

雨音が俺を好きだと言ってくれたのに、今……ものすごく焦ってる。

白石はずっと雨音の傍にいて、守ってた。

でも俺は……傷つけただけで、まともな答えも返せてねぇ。




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