この恋が罪だとしても
「あなた、誰……?」
それは、唐突に起きた。
北園さんは、抱きしめる泉くんを見上げると、怯えるような震える声で呟く。
え、北園さん何を言って……。
目の前にいるのは、北園さんの彼氏なのに……。
まだ、階段から落ちたショックでボーッとしているだけ?
「嘘、だろ……雪乃、俺のこと覚えて無いのか……?」
「……あの、離れて下さい」
「雪乃っ……俺だ、晴希だ」
その肩を掴んで、懇願するように北園さんの名前を呼ぶ泉くん。
まさか、本当に北園さんは……泉くんを忘れてしまった?
嘘でしょ、そんな残酷な事っ……あっていいはずが無い。
泉くんは、北園さんが大好きなのにっ。