この恋が罪だとしても



放課後、北園さんに連れられるままやってきたのは、音楽室へ向かう途中の階段。

そう、あの日……北園さんが落ちた階段だった。


「ここ……」


私は、あの日の罪を思い出して、胸が苦しくなる。

先に踊り場に上がった北園さんが、最後の階段を上がる私を振り返った。


「雨音さんから渡されたテディベアーのことなんだけどね、あれを見てから、色んな記憶が戻ってきて……」

「っ……じゃあ、全部思い出して……?」


あの日、私のせいで北園さんが階段から落ちたことも、記憶を失ったことも……。


「ううん、私が思い出せたのは、このテディベアーをこの階段から放り投げたことと……」


北園さんは、手のひらに乗せたテディベアーを見つめて、切なげに笑う。


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