この恋が罪だとしても



「記憶を失った私を……雨音さんが助けてくれたこと、本当に感謝してる。だからこそ、自分が嫌いになった……っ」


「北園さん……それは、私の方だよ。北園さんの記憶を奪ったのに、私に優しくしてくれた……」


「え……?」


その手を握り返せば、北園さんは驚いたように目を見開いて私を見つめた。


「その度に、なんて事をしちゃったんだろって、自分が嫌いになってたよ……」


なんで、こんなにも私たちはすれ違ったんだろう。

もっと言葉を交わしていたら、北園さんと友達になれていたかもしれない。

……なんて、傲慢なことを考えた。


「やっぱり……私、どんなに怖くても……知りたい。雨音さんと、ちゃんと向き合いたいから」


「私と、向き合う……?」


「うん、それで……今度は、雨音さんのお友達になりたいんだ」


そう言って、微笑んだ北園さんの顔から、目が離せない。

なんて、優しくて綺麗な笑顔だろう。



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