この恋が罪だとしても



「誰かっ、雨音さん、しっかりして!!」


遠くに、北園さんの悲鳴が聞こえる。

それに、「大丈夫だよ」って答えたいのに……。


「っ………うっ」


体が、痛い……。

まだ、落ちてるみたいな浮遊感が消えない。

誰か……誰か、助けて……。


「泉……く……」


あぁ、こんな時に浮かぶのは、やっぱり泉くんの顔だった。

他の誰でもない、泉くんだけ。


「雨音!!」


すると、願いが通じたのか、泉くんの声が聞こえた。


「雨音っ、雨音、しっかりしろ!!」

「あっ……」


夢なのかな……?

それとも、本当に打ちどころが悪くて、幻覚でも見てるの?

私、どれだけこの人のことが好きなんだろう。


それに、自嘲的な笑みが浮かぶ。



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