この恋が罪だとしても
――ガタンッ
すると、隣に誰かが座るのが分かった。
「チッ」
隣を見れば、そこには眉間に深い皺を寄せた、泉くんの姿がある。
私の隣の席が、心底嫌なんだろう。
席替えが半年に1回しかないことを、ここまで恨んだことは無い。
なんでかって、私はこれ以上……泉くんを傷つけたくなかった。
「晴希くん、舌打ちなんてしちゃだめだよ」
「雪乃……」
「どんな理由があるにせよ、こんなイジメみたいなの……」
北園さんは、気遣うようにあたしに、視線を向ける。
これを、最初はわざとそうやってあたしを心配してる風に装ってるんだとばかり思ってた。
だけど、日を重ねるごとに、北園さんが本気で私を気遣っていることが分かった。
記憶を失ったからなのか、私が嫌いだったことも忘れて、北園さんはこのクラスで唯一、私に優しくしてくれる。