この恋が罪だとしても
*1章*
Episode0:*罪と罰*
【梓side】
あれは……そう、まだ桜が舞い散り、暖かい空気に満ちていた季節、4月のこと。
あの時のことは、鮮明に記憶の中に残ってる。
私の、人生最大の罪を犯した日のことだから。
私、雨音 梓(あまね あずさ)は、この春高校3年生になった。
最終学年だなんて、先生達は口を揃えて言うけれど、だからって、何かが変わることは無い。
私は高校生活の中でこれだけは、というモノ……つまりは部活や友達、そういったものに出会えなかった。
ただフワフワとした、地に足のつかない状態でここまでやって来てしまったのだ。
「おはよう、梓ちゃん」
「おはよう」
朝、音楽室から教室に戻った私は、クラスメイトに挨拶をして窓際の一番後ろの席へとついた。
「雨音さん、1年の時の合唱コンクール、伴奏すごく良かったよ!私も吹奏楽やってるから、つい聞き入っちゃった」
「あ、ありがとう……」
前の席の吹奏楽の女子が私に話しかけてくる。
そう、こんな私にも、唯一、幼い頃から続けてきた、他人に誇れるものがある。
……それは、ピアノだ。
小学校3年の時からピアノをやっていた私は、音楽の先生になるのが夢で、今もこうして、ピアノを続けている。
「今度、雨音さんのピアノ聞きに行ってもいい?」
「えーと、うん……」
今度は、別の女子生徒が私の机にやって来てそう言った。
毎朝、吹奏楽部のいない時間帯でピアノの練習をするのが日課なんだけど……。
出来れば、一人で弾きたいんだけどな……。
騒がしいのは、苦手だから。
あれは……そう、まだ桜が舞い散り、暖かい空気に満ちていた季節、4月のこと。
あの時のことは、鮮明に記憶の中に残ってる。
私の、人生最大の罪を犯した日のことだから。
私、雨音 梓(あまね あずさ)は、この春高校3年生になった。
最終学年だなんて、先生達は口を揃えて言うけれど、だからって、何かが変わることは無い。
私は高校生活の中でこれだけは、というモノ……つまりは部活や友達、そういったものに出会えなかった。
ただフワフワとした、地に足のつかない状態でここまでやって来てしまったのだ。
「おはよう、梓ちゃん」
「おはよう」
朝、音楽室から教室に戻った私は、クラスメイトに挨拶をして窓際の一番後ろの席へとついた。
「雨音さん、1年の時の合唱コンクール、伴奏すごく良かったよ!私も吹奏楽やってるから、つい聞き入っちゃった」
「あ、ありがとう……」
前の席の吹奏楽の女子が私に話しかけてくる。
そう、こんな私にも、唯一、幼い頃から続けてきた、他人に誇れるものがある。
……それは、ピアノだ。
小学校3年の時からピアノをやっていた私は、音楽の先生になるのが夢で、今もこうして、ピアノを続けている。
「今度、雨音さんのピアノ聞きに行ってもいい?」
「えーと、うん……」
今度は、別の女子生徒が私の机にやって来てそう言った。
毎朝、吹奏楽部のいない時間帯でピアノの練習をするのが日課なんだけど……。
出来れば、一人で弾きたいんだけどな……。
騒がしいのは、苦手だから。