この恋が罪だとしても



『こうして、雨が降らなきゃ出会えなかったかもな』

『あ……本当にね』


その言葉だけで、まるで運命とか奇跡とか、そんな意味があるような出会いに思える。

泉くんの考えかたは、綺麗だなぁ……。


『なら、この雨に感謝しないと……』

『おー、そうだよな』


私達は同時に雨空を見上げる。

今度は、訪れた沈黙を気まずいとは思わなかった。

こんなふうに、自然体でいられるのなら、友達も良いかな……なんて思う。


だから、もう少しだけ……。

この雨が止みませんようにと、私は願った。



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