この恋が罪だとしても
しばらくすると、「キャーッ!!」と教室が騒がしくなる。
顔を上げれば、そこには、180cmほどある長身に、長い手足……モデル顔負けの男子がいた。
「朝から、すげー大きな声。耳がいてぇ……」
そう言って気だるそうにアッシュグレーの癖のある髪を掻き上げ、欠伸を噛み殺している。
「お前、相変わらずの人気者だよな」
「俺もイケメンに生まれたかったわー」
クラスの男子の視線さえ集めているのに、彼はそれをどうでも良さそうに無視していた。
「ふぁぁーあ」
右耳のシルバーピアスを指で触るこの人こそ、クールでいわゆるイケメンの泉 晴希(いずみ はるき)くん。
「はよ、雨音さん」
「あ……おは、よう」
私の隣にやってきて、何事も無かったかのように挨拶してくる泉くん。
それだけで、心臓がドキドキと騒がしくなった。