この恋が罪だとしても
「昨日、傘俺に押し付けたろ」
「あ……ご、ごめんね……」
そっか、昨日の文句だ。
無理やり傘を押し付けたりして……あげく、逃げたし。
私なんかに傘を借りるなんて、泉くんはいい気しないよね。
「謝ってほしいわけじゃねーから」
そう言って、ピアノの前の椅子に座っている私の傍へと泉くんがやってくる。
その長身に見下ろされて、私はなんとなく圧倒されたからか、俯いた。
「ん」
「え、これ……」
俯いた視界に差し出されたのは、私が昨日貸した傘だった。
それを受け取って顔を上げると、泉くんは困ったように視線をさ迷わせる。