男狼
本
男狼 第9話
「「僕を殺すって?
殺ってみなよ!」」
レンのその言葉を合図に、
石田が鉈を降り下ろす。
が、惜しくもその一撃は当たらず、空を切る。
完全に無防備な姿となった石田。
殺られる!!
そう感じた石田は下がろうとする。
だが、レンの攻撃はもう、避けられないことは明白だ。
「……………………は?」
レンは予想外の行動をとった。
「おい、待て!まさか…………」
レンはキングに対しては、
興味もないとでもいうように、
倉庫の出口へと走り出したのだ。
そう、杜山の元へとだ。
レンは不適に笑う。
「「そうだよ。君はいつでも殺せるじゃないか。
僕が今、真っ先に殺すべきなのはあの小さな少年さ。
残念だったね」」
すでに倉庫から出た杜山を追って、
レンは倉庫から出ていった。
続いて石田も追いかけようとはするが、
もう、間に合いそうにもない。
レンは常人をはるかに上回る速度で
廊下を走り抜けていった。
教室などを探すとしても、
そう時間はかからないだろう。
あの本を読めたとしても、
わずか2、3ページ程だ。
石田は自分の無能さに、イラつく。
「くそっ!
……………………何であんなに速いんだよ、
化け物が……」
その時だった。
石田は背筋が凍りつくような感覚に襲われた。
石田は驚愕の表情で、後ろを振り向く。
…………そこには、ガラクタしかない。
さっきのレンとのやり取りからくる恐怖が、
今頃きたのかと思い、
再び石田は前を向いた。
「………………っっっ!!
うわぁぁぁぁぁぁ!!!!!」
石田の前には、レンがいた。
「な、何で………………」
さっき確かに出ていったはずのレンが、
一瞬にして目の前に現れたことに石田は動揺する。
レンは明らかに、
つい先程とは雰囲気が違う。
穏やかな雰囲気ではない。
小馬鹿にするような態度から一変し、
静かなのに、どこか激しく、
どす黒い。
そんな雰囲気だ。
「…………誰か、
……………………助けて……」
自然と、その言葉がでた。
だが、その言葉は誰にも届かない。
「「全く君たちは、
何故そう易々と禁忌を犯すんだ。
………………何故こんな簡単な契りも守れないんだ。
…………僕達を縛り付けておいて、
何故、自分たちは縛られないようにするんだ!」」
キングは声が出せない。
まるで、ライオンを目前にした、
小さな小鹿のようだ。
足腰が立たなくなり、
床に座り込み、涙を流している。
今、レンが放っているプレッシャーは、
それほどのものなのだ。
「「何故だと聞いている!!!!」」
レンが石田の首を強く締め付ける。
「…………うっ!
……がっ!………………っ!!」
レンの腕を掴み、微かな抵抗をみせた手は、
数秒で重力から逆らえなくなった。
「「………………死んだ……か」」
レンは、石田の首を締め付けていた手を放す。
どさりと石田の体が床へと落ちる。
「「僕は………………化け物じゃない」」
レンはそう呟いた。
その頃杜山は2階まで来ていた。
「はぁ……はぁ…………
もう少しで、3階だ……」
杜山は1つの場所へと、
一直線に向かっていた。
それは、男狼の儀式をした教室。
「………………きっと誰か、あの教室にいるはず…!」
階段を勢いよく上がった杜山は、
そのまま目的の教室へと入った。
「う、うわぁぁぁぁぁぁ!!!!!」
そこには西乃のような、坂口のような物体があった。
杜山の声によって、
憐の意識が戻る。
「…………な、にが……?」
起き上がった憐の元に、杜山が駆け寄る。
「…………!憐っ!!
無事だったのか……」
「圭……。ああ、俺はなんとか……な。
でも、西乃達は……」
憐が、奇妙な死体を見て言う。
「あれ…………やっぱり西乃達なのか?」
憐は無言で頷く。
「……くそっ!
あいつ…………絶対許さねぇ…………!!」
そこで憐はようやく、杜山の持っている本に気づく。
「圭、その本は?」
杜山が本来の目的を思い出す。
「あ!そうだ!!
倉庫で見つけたんだけど、
………………“男狼について”の、本なんだ」
憐は目を見開く。
「………………!!
本当か!?……見せてくれ!!!」
杜山は頷き、机の上で、
1ページ目をとばして開いた。
「………………っ!!……こ、れは…!!!」
「「僕を殺すって?
殺ってみなよ!」」
レンのその言葉を合図に、
石田が鉈を降り下ろす。
が、惜しくもその一撃は当たらず、空を切る。
完全に無防備な姿となった石田。
殺られる!!
そう感じた石田は下がろうとする。
だが、レンの攻撃はもう、避けられないことは明白だ。
「……………………は?」
レンは予想外の行動をとった。
「おい、待て!まさか…………」
レンはキングに対しては、
興味もないとでもいうように、
倉庫の出口へと走り出したのだ。
そう、杜山の元へとだ。
レンは不適に笑う。
「「そうだよ。君はいつでも殺せるじゃないか。
僕が今、真っ先に殺すべきなのはあの小さな少年さ。
残念だったね」」
すでに倉庫から出た杜山を追って、
レンは倉庫から出ていった。
続いて石田も追いかけようとはするが、
もう、間に合いそうにもない。
レンは常人をはるかに上回る速度で
廊下を走り抜けていった。
教室などを探すとしても、
そう時間はかからないだろう。
あの本を読めたとしても、
わずか2、3ページ程だ。
石田は自分の無能さに、イラつく。
「くそっ!
……………………何であんなに速いんだよ、
化け物が……」
その時だった。
石田は背筋が凍りつくような感覚に襲われた。
石田は驚愕の表情で、後ろを振り向く。
…………そこには、ガラクタしかない。
さっきのレンとのやり取りからくる恐怖が、
今頃きたのかと思い、
再び石田は前を向いた。
「………………っっっ!!
うわぁぁぁぁぁぁ!!!!!」
石田の前には、レンがいた。
「な、何で………………」
さっき確かに出ていったはずのレンが、
一瞬にして目の前に現れたことに石田は動揺する。
レンは明らかに、
つい先程とは雰囲気が違う。
穏やかな雰囲気ではない。
小馬鹿にするような態度から一変し、
静かなのに、どこか激しく、
どす黒い。
そんな雰囲気だ。
「…………誰か、
……………………助けて……」
自然と、その言葉がでた。
だが、その言葉は誰にも届かない。
「「全く君たちは、
何故そう易々と禁忌を犯すんだ。
………………何故こんな簡単な契りも守れないんだ。
…………僕達を縛り付けておいて、
何故、自分たちは縛られないようにするんだ!」」
キングは声が出せない。
まるで、ライオンを目前にした、
小さな小鹿のようだ。
足腰が立たなくなり、
床に座り込み、涙を流している。
今、レンが放っているプレッシャーは、
それほどのものなのだ。
「「何故だと聞いている!!!!」」
レンが石田の首を強く締め付ける。
「…………うっ!
……がっ!………………っ!!」
レンの腕を掴み、微かな抵抗をみせた手は、
数秒で重力から逆らえなくなった。
「「………………死んだ……か」」
レンは、石田の首を締め付けていた手を放す。
どさりと石田の体が床へと落ちる。
「「僕は………………化け物じゃない」」
レンはそう呟いた。
その頃杜山は2階まで来ていた。
「はぁ……はぁ…………
もう少しで、3階だ……」
杜山は1つの場所へと、
一直線に向かっていた。
それは、男狼の儀式をした教室。
「………………きっと誰か、あの教室にいるはず…!」
階段を勢いよく上がった杜山は、
そのまま目的の教室へと入った。
「う、うわぁぁぁぁぁぁ!!!!!」
そこには西乃のような、坂口のような物体があった。
杜山の声によって、
憐の意識が戻る。
「…………な、にが……?」
起き上がった憐の元に、杜山が駆け寄る。
「…………!憐っ!!
無事だったのか……」
「圭……。ああ、俺はなんとか……な。
でも、西乃達は……」
憐が、奇妙な死体を見て言う。
「あれ…………やっぱり西乃達なのか?」
憐は無言で頷く。
「……くそっ!
あいつ…………絶対許さねぇ…………!!」
そこで憐はようやく、杜山の持っている本に気づく。
「圭、その本は?」
杜山が本来の目的を思い出す。
「あ!そうだ!!
倉庫で見つけたんだけど、
………………“男狼について”の、本なんだ」
憐は目を見開く。
「………………!!
本当か!?……見せてくれ!!!」
杜山は頷き、机の上で、
1ページ目をとばして開いた。
「………………っ!!……こ、れは…!!!」