ずっと、君が
髪を撫でられている間も
あたしはだいのことを考えていた。










だいが髪を撫でてくれたことも
だいが抱き締めてくれたことも


体温もにおいもなにもかも







あたしの体が





あたしの体ごとぜんぶで
だいをおぼえていた



あたしの体ごとぜんぶで
だいを求めていた










ひろがあたしの頭を撫でて
抱き締めてくれていても



手の感触も
胸の温度も
なにもかもぜんぜんちがうのに






だいを思い出すきっかけにしか
ならなかった。
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