まだ見ぬ春も、君のとなりで笑っていたい
「香奈たちも心配してたよ。元気ないねって。だから今日、遊びに誘ったんじゃないかな」

まさか香奈と菜々美にまでばれていたなんて。わたしの空元気はそんなに下手だったのか、と恥ずかしくなってきた。

「私なんかじゃ力になれないとは思うけど……もし悩んでたりつらいことがあるなら、いつでも言ってね」

遠子が控えめな口調で囁いてくる。

わたしは笑みを浮かべて「ありがと」と返した。

「でも、大丈夫。ちょっと色々……進路のこととか、考えてたせいで、夜あんまり寝れなかったりして。それで昼間眠かったりしていつもと違うように見えるのかも。全然大丈夫だよ」

言葉がするすると流れ出してくる。

誰かに弱音を吐くのも、心配されるのも苦手だ。だから、なんとかごまかしたかった。

遠子は、それに気づいているのかいないのか、にっこり笑って「そっか」と頷く。

「それならいいんだけど。私いつも遥に助けてもらってるから、たまには遥の力になりたいなって思ってるの。だから、もし何かあったら言ってね」

遠子がそんなふうに思ってくれていたなんて初めて聞いて、喉の奥がきゅっと絞られたようになった。

わたしはかすれた声で、また「ありがと」と囁き返した。


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