まだ見ぬ春も、君のとなりで笑っていたい
*
その日の放課後、進路面談ではやっぱりいつものようにたくさん厳しいことを言われた。天音のことで落ち込んでいる上に、一時間近くもお説教されて、さらに気落ちしてしまった。
でも、教室に戻ると、なんと遠子たちが揃ってわたしを待ってくれていた。おかげで少し浮上して、みんなで遊びに行っておしゃべりしているうちに、嫌な気分が薄れていった。
でも、久しぶりに軽い足取りで電車を降りて家路についたとき、喫茶あかりに続く道が目に入ってしまった。途端に、まだずぶずぶと心が沈んでいく。
ふうっとため息をついて、まるで癖のように、どうすれば天音に許してもらえるか、何をすればいいかを考え始める。
でも、本当は答えなんて分かりきっていた。とにかく謝るしかないのだ。それは分かっているけれど、どうやって謝ればいいか分からない。どうやれば会ってもらえるのかも分からない。
連絡しても返事をくれないということは、わたしと会いたくないということだ。そんなふうに思われている相手にぶつかっていく勇気は、わたしにはなかった。
再び天音のことを考えて暗く沈んでいたところに追い討ちをかけるように、帰宅した瞬間にお母さんからの小言が始まった。
「ちょっと遥、遅かったわね。また寄り道してたの? ほんっとお気楽ねえ。さっき先生から電話があったわよ。進路のこと、まだぐずぐずしてるんですって? 一人では決められないようだから冬休みの間にご家族で話し合ってくださいって言われちゃったわよ。もうお母さん情けなくって! お兄ちゃんは私たちがなんにも言わなくても自分で考えて自分の目標を決められたのに、どうして遥はだめなのかしら。悠の妹とは思えないわ」
まだ玄関で靴を脱いでもいないわたしに、お母さんは怒濤のようにたたみかけてきた。早口すぎる言葉は、きんきんうるさいのに耳に入ってこずにどんどん通り抜けていく。
その日の放課後、進路面談ではやっぱりいつものようにたくさん厳しいことを言われた。天音のことで落ち込んでいる上に、一時間近くもお説教されて、さらに気落ちしてしまった。
でも、教室に戻ると、なんと遠子たちが揃ってわたしを待ってくれていた。おかげで少し浮上して、みんなで遊びに行っておしゃべりしているうちに、嫌な気分が薄れていった。
でも、久しぶりに軽い足取りで電車を降りて家路についたとき、喫茶あかりに続く道が目に入ってしまった。途端に、まだずぶずぶと心が沈んでいく。
ふうっとため息をついて、まるで癖のように、どうすれば天音に許してもらえるか、何をすればいいかを考え始める。
でも、本当は答えなんて分かりきっていた。とにかく謝るしかないのだ。それは分かっているけれど、どうやって謝ればいいか分からない。どうやれば会ってもらえるのかも分からない。
連絡しても返事をくれないということは、わたしと会いたくないということだ。そんなふうに思われている相手にぶつかっていく勇気は、わたしにはなかった。
再び天音のことを考えて暗く沈んでいたところに追い討ちをかけるように、帰宅した瞬間にお母さんからの小言が始まった。
「ちょっと遥、遅かったわね。また寄り道してたの? ほんっとお気楽ねえ。さっき先生から電話があったわよ。進路のこと、まだぐずぐずしてるんですって? 一人では決められないようだから冬休みの間にご家族で話し合ってくださいって言われちゃったわよ。もうお母さん情けなくって! お兄ちゃんは私たちがなんにも言わなくても自分で考えて自分の目標を決められたのに、どうして遥はだめなのかしら。悠の妹とは思えないわ」
まだ玄関で靴を脱いでもいないわたしに、お母さんは怒濤のようにたたみかけてきた。早口すぎる言葉は、きんきんうるさいのに耳に入ってこずにどんどん通り抜けていく。