まだ見ぬ春も、君のとなりで笑っていたい
5 君の苦しみを救いたい
*
「あのね、ちょっと聞いて欲しいことがあるんだけど」
終業式が終わって、帰りのホームルームのあと、四人で集まったときのことだった。
遠子がわたしたちにチケットのようなものを差し出して、恥ずかしそうに口を開いた。
「私ね、部活で描いてこの前コンクールに出した絵が……入選して、美術館に飾られることになったの」
香奈が「えっ!?」と声を上げ、菜々美も目を丸くしている。わたしも同じだった。
「ええっ、本当? 遠子!」
「うん、自分でも信じられないけど、本当……。昨日書類が届いたから」
「えーっ、すごいじゃん!!」
三人でぱちぱちと拍手を送ると、遠子は顔を真っ赤にして「ありがとう」と頭を下げた。
「それでね、明日から年明けまで展示されるみたいだから、よかったら三人にも見て欲しいなって」
「行くよ行くよ、もちろん行くよ!」
「遠子の絵、見たことないから楽しみだな」
香奈と菜々美が大きく頷くのに合わせて、わたしも「見に行く」と言った。
「よかった、ありがとう。あ、もし家族とか友達でチケット欲しい人がいたら、まだ余分あるから教えてね」
遠子が嬉しそうに笑いながら言った。
それからしばらくその話で盛り上がり、少しテンションが落ち着いたときに、わたしは深呼吸をしてから唐突に手を挙げた。
「わたしも聞いて欲しいことがあります」
わたしの突然の宣言に、遠子たちはそろって目を丸くする。
「なになに、なんで急に敬語?」
菜々美がおかしそうに笑って訊ねてきた。
「いや、なんか緊張して力が入っちゃって……」
「なにー、緊張するようなこと?」
香奈が首を傾げてから、からかうようににやにや笑って言う。
「まさか、やっぱり彼方くんのこと諦められないからもう一回告白する! ……とかじゃないよね?」
「えっ」
香奈の言葉に、遠子が慌てたようにわたしを見た。
「あのね、ちょっと聞いて欲しいことがあるんだけど」
終業式が終わって、帰りのホームルームのあと、四人で集まったときのことだった。
遠子がわたしたちにチケットのようなものを差し出して、恥ずかしそうに口を開いた。
「私ね、部活で描いてこの前コンクールに出した絵が……入選して、美術館に飾られることになったの」
香奈が「えっ!?」と声を上げ、菜々美も目を丸くしている。わたしも同じだった。
「ええっ、本当? 遠子!」
「うん、自分でも信じられないけど、本当……。昨日書類が届いたから」
「えーっ、すごいじゃん!!」
三人でぱちぱちと拍手を送ると、遠子は顔を真っ赤にして「ありがとう」と頭を下げた。
「それでね、明日から年明けまで展示されるみたいだから、よかったら三人にも見て欲しいなって」
「行くよ行くよ、もちろん行くよ!」
「遠子の絵、見たことないから楽しみだな」
香奈と菜々美が大きく頷くのに合わせて、わたしも「見に行く」と言った。
「よかった、ありがとう。あ、もし家族とか友達でチケット欲しい人がいたら、まだ余分あるから教えてね」
遠子が嬉しそうに笑いながら言った。
それからしばらくその話で盛り上がり、少しテンションが落ち着いたときに、わたしは深呼吸をしてから唐突に手を挙げた。
「わたしも聞いて欲しいことがあります」
わたしの突然の宣言に、遠子たちはそろって目を丸くする。
「なになに、なんで急に敬語?」
菜々美がおかしそうに笑って訊ねてきた。
「いや、なんか緊張して力が入っちゃって……」
「なにー、緊張するようなこと?」
香奈が首を傾げてから、からかうようににやにや笑って言う。
「まさか、やっぱり彼方くんのこと諦められないからもう一回告白する! ……とかじゃないよね?」
「えっ」
香奈の言葉に、遠子が慌てたようにわたしを見た。