転校生(Eijis' black worldⅡ)

はっ、と我にかえったときはもうすでに教室は重苦しい空気に包まれていた。
時が止まった様に教室中は沈黙の空間となっていた。
キーンコーンカーンコーン……。

始業のベルが鳴り、俺は沈黙の空間から抜け出せた。
俺は自分の教室に戻ろうとする絵里の肩を掴んで謝ろうとしたが、絵里は俺の手を振り払う様に去って行った…。

一時間目の授業が終わった。

ほんの一時間前の失態にへこんでいた俺に須田が話しかけてきた。

｢鳴瀬…。さっきの話なんだけど…。｣

｢あぁ…。悪かったな、お前の気持ち考えもせずにあんな事聞いて…。｣

｢その事は別にいいんだ…。そうじゃなくて仁志の事なんだけど…。俺昨日、アイツが殺される10分前にアイツを横浜で見たんだ…。｣

｢えっ！？それ本当に高木だったのか！？｣

｢多分…。正確には俺の彼女が見たんだけど…。駅で渋谷行きの電車待ってる時に偶然、彼女が見掛けたらしいんだ…。｣

横浜から渋谷へは急行を使っても30分は掛かる。須田の見間違いと考えるのが妥当だ。

｢須田。お前の彼女に会ってその時の事聞きたいんだけど、連絡とってくんないか？｣

俺は試しに須田の彼女に話を聞こうと思った。