転校生(Eijis' black worldⅡ)
店のテレビに事件当日の渋谷の交差点が映った。
時間は高木が殺される5分前。沢山の人が交差点を渡るために信号待ちをしている。そこには制服姿の高木もいた。

「どうや、エイジ。高木見つけたか?」
カイトが聞いてきた。

俺は画面を指差して、

「あぁ、間違いない。これが高木だ。」

と答えた。

信号が青に変わり、一気に人の固まりが交ざり始めたその時、高木が急に立ち止まり、腹を押さえて倒れこんだ。

「どうや、なんかわかったか?」

「あぁ。おそらく犯人は高木の前方にいた。つまり、高木の反対側で信号待ちしていた事になる。マスター!もう一度、信号待ちのところを見せてくれ。」

映像が信号待ちのシーンに戻った。

俺は高木の反対側に目をやった。するとそこには大河内の姿があった。

「カイト!ここ見てみろ!大河内だ!事件当日、アイツも渋谷にいたんだ!」

「そりゃあ、いるやろ。一応犯人とされてる男なんやし。それより、他に誰か怪しいヤツおらんのか?」

俺はもう一度人混みに目をやった。

するとそこにはもう一人俺の知っている人物が映っていた。それは…

“新堂 明日香”だった。

新堂は大河内の隣にいて、二人はなにやら話ながら信号待ちしていた。
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