転校生(Eijis' black worldⅡ)
「まぁまぁ、話は最後まで聞いて下さい。
計算外の事態は起こったけど私は全ての任務を終えた。
でもね…、私は物足りなさを感じたの。この子に“別れ”を捧げた私は“別れ”の素晴らしさに気付いたの…。母親と恋人の残骸を見た時、父親が逮捕されパトカーに乗る瞬間、その一瞬だけ私は悲劇のヒロインになれた気がしたの…曖昧な存在である私がヒロインになれたのよ!?素晴らしいと思わない!?」

理論も何もない、ただ殺人という欲望に身を任せただけの犯行…俺達はとんでもない悪を相手にしていたのだった…

「つまりは須田達はお前の下らない自己満足のために殺されたのかよ!?」

俺は深い憤りを感じ、怒鳴り付けた。

「何がいけないのよ!?あなた達みたいに確固たる存在のある人達には私の気持ちなんて理解できるわけないわ!!」

突然、感情をむき出しにして語る新堂に俺は圧倒されて、何も言えなくなった…
すると、カイトがタバコを吹かしながらボソッと呟いた。

「下らない動機やな…」

その言葉に反応した新堂はギロっとカイトを睨んで、
「なんですって!もう一回行ってみなさいよ!」

と怒鳴った。
< 39 / 53 >

この作品をシェア

pagetop