転校生(Eijis' black worldⅡ)
「下らない…って言うたんや。自分が人格のみの存在やから悲劇のヒロインやて?笑わせんなや!人格のみやろうがなんやろうが、何人も殺したら立派な殺人鬼や!
それに“別れ”っちゅうもんはその当事者同士が思い出を回想し、互いを愛しく想う事が出来る最後のチャンスなんや!君が無理矢理作り出した“別れ”なんて“別れ”やない!」

今まで見たことないほどカイトは熱く語った。

何故か俺にはそんなカイトがどこか寂しげに見えた。
カイトに説教された直後、新堂は一言だけカイトに、
「知ってたわよ…」

と言い残し、元の新堂に戻った。

新堂は元に戻るなり、
「やっぱりもう一人の私が犯人だったのね…」
と呟くと、その場から逃げるように走り去った。

俺達もすぐさま追い掛けた。

しかし、学校からすぐの大通りで新堂は大型トラックの前に飛び出し、俺達の目の前で自らの人生の幕を閉じた。

「キャーーーーー!!」
絵里の叫び声が辺りにこだました…

こうして『転校生、新堂明日香』は『殺人鬼、新堂明日香』のまま死んだ。

罪を償う事もせずに…

もう一人の新堂が“別れ”を選ばせたのか、自分で選んだのか、その時の俺達にはわからなかった…

ただ、俺は彼女の死は何かを重大な事を隠している気がした。

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