転校生(Eijis' black worldⅡ)
第八章 裏の真実
「エイジ…あんた、何バカな事言ってんのよ!?私が犯人なわけないじゃない!!」

絵里は俺を見るなり怒鳴った。

「じゃあなんでここに来たんだ?カギがなけりゃ、部屋には入れないはずなんだけどな…」
俺は冷静に問い質した。

絵里は黙りこんでうつ向いた。

「答えられないようだな。そりゃあ、そうだよな…
ここに須田を殺した道具があって、それを取りに来たなんて言えないもんな…」

「?!」
絵里は驚いて思わず顔を上げた。

「俺はずっと須田の死に方が引っ掛かってたんだよ…。
廃工場で死んでた事を考えると須田は呼び出されて殺されたって事になる。いくら火を使ったとはいえ男の須田を女の新堂が一人であっさり殺せるわけがないんだ。
そこで考えられるのはなんらかのトリックを使ったって事だ。まぁ、トリック自体は大したものじゃない。
まず、工場の出口にガソリンを染み込ませたロープを用意し、出口から新堂の立ち位置まで導火線のように置いておく。これで現場の準備はOKだ。
次に須田の制服にあるものをまぶしておくんだ。カイト、何かわかるか?」

「もしかしてリンか?」

「そう。特に須田の靴底の踵のとこからズボンのすそに余計めに付けといたと思う。後はズボン全体と上着の内側に付ける。ただ、それだけじゃ当日、リンがながれ落ちてる可能性があるから、工場の出入口にもリンを用意して、須田が出入りする時に踏むようにしといたはずだ。
あとは当日、須田が工場を出ようと出入口に向かった瞬間に新堂がロープに火をつければあとはロープからリンに引火して須田は火だるまになるってわけさ…。」



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