過去ポスト
同士
友太さんの車で移動すれば、遠くのポストまで探しに行く事ができる。


あたしは流れる景色の中にポストを探しながら、耳ではラジオから流れる音楽を聞いていた。


あと1か月もすればクリスマスと言う事で、クリスマスソングが多く耳に入るようになってきていた。


「見つからないな」


運転をしている友太さんがため息交じりにそう呟いた。


合流してからもう2時間は経過している。


外は見慣れた街から離れ、山や田んぼが多くなってきていた。


大きな建物が少ない事で、立っているポストを見つける事は容易かった。

でも、そのどれもがごく普通のポストだった。


「『過去ポスト』は日本のどこにあるかわからないんです。根気強く探すしかないですよ」


あたしはそう言い、流れる景色を見る。


「そうだな。ポストそのものが移動している可能性だってあるんだしな」


その言葉にあたしは驚いて友太さんを見た。


「ポストが移動してる……?」


「あぁ。同じ場所にずっとあるんだとすれば、その場所だってサイトに記載されるはずだろ?


 それが書かれていないとなると、ポスト自体が移動しているとか、出てきたりなくなったりしているってことだろう?」
< 25 / 85 >

この作品をシェア

pagetop