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「夏……」
あたしは夏が消えた海に足を踏み入れた。
ひどく冷え切った海水に足の感覚はすぐに消えて行く。
それでもよかった。
どうせなら胸の痛みが消えてくれればいいのにと思ったけれど、なくなるのは海水に触れた皮膚の感覚だけだった。
夏の面影を追いかけて腰まで海水につかると、不思議と体の震えが止まっていた。
冷たいと感じていた海水も、どこか暖かく感じられる。
足の下にあるはずの砂や小石の感覚も、もう感じられなかった。
これでいいんだ。
あの時は友太さんに声をかけられて立ち止まってしまったけれど、もう立ち止まらない。
このまま夏に会いに行けばいいだけだ。
「なぁんだ、こんなに簡単だった」
あたしは思わずそう呟いて、1人で笑っていた。
夏に会いたいと思うなら、自分から会いに行けばいいだけなんだ。
夏から会いにくることができないなら、あたしから行けばいい。
そんな簡単な事に、どうして今まで気が付かなかったんだろう。
そう思うと一刻でも早く夏に会いたくて、海の中を歩くスピードは上がって行った。
あたしは夏が消えた海に足を踏み入れた。
ひどく冷え切った海水に足の感覚はすぐに消えて行く。
それでもよかった。
どうせなら胸の痛みが消えてくれればいいのにと思ったけれど、なくなるのは海水に触れた皮膚の感覚だけだった。
夏の面影を追いかけて腰まで海水につかると、不思議と体の震えが止まっていた。
冷たいと感じていた海水も、どこか暖かく感じられる。
足の下にあるはずの砂や小石の感覚も、もう感じられなかった。
これでいいんだ。
あの時は友太さんに声をかけられて立ち止まってしまったけれど、もう立ち止まらない。
このまま夏に会いに行けばいいだけだ。
「なぁんだ、こんなに簡単だった」
あたしは思わずそう呟いて、1人で笑っていた。
夏に会いたいと思うなら、自分から会いに行けばいいだけなんだ。
夏から会いにくることができないなら、あたしから行けばいい。
そんな簡単な事に、どうして今まで気が付かなかったんだろう。
そう思うと一刻でも早く夏に会いたくて、海の中を歩くスピードは上がって行った。