過去ポスト
サオお姉ちゃんが会社で誰の誘いにも乗らない理由。


それは友太さんという存在があったからなのかもしれない。


「俺とサオも同級生で、その弟と妹も同級生。これって、運命みたいに感じないか?」


友太さんが照れながらそう言うと、サオお姉ちゃんはパチパチと瞬きを繰り返し、そして笑い出した。


友太さんはどうして笑われたのかわかっていない様子だけれど、今のセリフはクサいし古い。


あたしはスマホを取り出して時間を確認した。


やばい。


そろそろ行かなきゃ遅刻しちゃう。


焦りはじめるけれど、目の前の2人はまだ告白シーンを繰り広げている。


こんな朝っぱらから人の家の前で。


と、文句の1つでも言いたくなったけれど、あたしはそれをグッと押し殺した。


この2人が自分のために頑張ってくれていたことは、あたしが一番よく知っている。


形はどうであれ、夏にもちゃんと会えたんだし、もう少し2人の様子を見守っていてもいいかもしれない。


「んん……俺の弟はよく言ってたんだ」


友太さんは木を取り直すように軽く咳払いをしてそう言った。
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