今、君に伝えたい
中に入ると、どこか懐かしいような家独特の匂いがした。





「花音、覚えてる?」





「…覚えていない。」






そう言うとお母さんが苦笑いをしたので、申し訳なくなった。





「この階段を上がって左に行った突き当たりが花音の部屋よ。」





「わかった」





びっくりするくらい覚えていない。





自分の家なのに、他人の家に来ているようだ。





むしろ、病室の方が落ち着くようになってしまったのかもしれないな…。





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