今、君に伝えたい
「命はかろうじて無事でしたが、あるものと引き換えになってしまいました。」





すると、不思議なことに ざわついていた声がすっと消えて シーンと静まり返った。





校長先生は、一息ついて





「それは、思い出です。記憶の20%を失いました。」





「学力や、基本的な知識は残っていますが」





「家族、友達、自分、思い出を失いました。」





「彼女…いや、鈴木花音さんは とても辛い思いをしています。」





すると、またざわつき出した。





「えっ、お前?」




「だからあんなに休んでいたの?!」





周りから、いろんな声が聞こえる。





すると、担任のおばさん先生が私にマイクを渡してきた。





私はマイクを受け取り、その場ですっと立った。





前へ出てきて、マイクのスイッチを入れる。





すうっと小さく深呼吸をして、口を開けた。





「私は、この場にいるほとんどの人の事がわかりません。」





そう、昨日何回も家で練習したことをするだけ。





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