今、君に伝えたい
周りに大人は1人もいない。





車もないし…なんて思っているとバイクの姿が見えた。






しかも一台ではなく、何台も。






「ねぇゆ……」






と私が優に喋ろうと思った時には、もう隣に優の姿はなかった。





気づけば横断歩道へと優が走っている。






子供は皮肉なことに、横断歩道のど真ん中で上を向いてただただ大声をあげていた。





「おがぁさぁぁぁぁぁぁぁぁぁん‼︎‼︎」






バイクはビュンビュンとスピードを上げて迫っている。






運転手はどこを向いているのかと不思議になったけれど、今の私にはそれを考える余裕すらなかった。





見ている風景がなぜか突然スローモーションになった。






なんだか、不思議な感覚に陥ってる気がする。






手汗が滲み、視界がぼやける。






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