君と星空を



学校が終わり、家に帰って勉強をしているとき、

携帯がなった。



誰だろうと思って確認してみると、


隼人のお母さんからだった。





何だろうと気になって電話に出た。















(もしもし、由夏ちゃん、隼人がね、入院している
んだけど、状態が良くないの。)



(由夏ちゃん、勉強で忙しいと思うけど
きてほしいの。)




はじめて耳にすることだった。













隼人が入院してる?

状態が良くないって?





私はうまく状況が飲み込めなかった。







でも、すぐに



(行きます。隼人に会いに行きます。)


と返事をしていた。









心配になった私は

隼人のお母さんに聞いた病院に向かっていた。






バスに乗っている間も隼人のことが心配でしかなかった。












病院に着くと隼人のお母さんが



入り口で待っていた。








「こんばんは」


「こんばんは、由夏ちゃん、急にごめんね。
ちょっとそこに座って。」




隼人のお母さんに言われて私は病院の外のベンチに座った。




隼人のお母さんが話し始めた。






「由夏ちゃん、落ち着いて聞いてほしいの。」


「はい。」



私はこれから何が言われるのか不安でしかたなかったが

それを顔に出さないようにして隼人のお母さんの

話を聞いた。




「隼人は特発性拡張型心筋症という病気で
1年くらい前にそれが分かって
最初は大丈夫だったんだけど
最近、急に悪くなってしまって
あと、3ヶ月ぐらいしか今のままじゃ持たないって。
心臓移植をすれば助かるかもしれないけど
それも、難しいみたいなの。」



悲しい現実を突きつけられた私は言葉がでなかった。


隼人のお母さんは続けて言った。




「だからね、由夏ちゃん、できるだけあの子のそばに
いてほしいの。由夏ちゃん、あの子、
いつも、あなたを頼りにしてたみたいなの。
きっと、由夏ちゃんがいたら頑張れるはずだから。
由夏ちゃん、忙しいかもしれないけど、
少しの間でいい、あの子のそばにいてあげて。
あの子は今、由夏ちゃんを必要としてるはずだから」



隼人のお母さんの言葉が胸にしみた。






余命、3ヶ月。





そんなの嘘って言ってほしい。





特発性拡張型心筋症。

心臓の筋肉の収縮する能力が低下し、
心臓が拡張してしまう病気。



隼人がそんな病気だなんて信じられなかった。






どうして、隼人が。



どうして隼人だったの。




そんな気持ちでいっぱいになった。








溢れてくる涙をハンカチで拭いた。








これから、できるだけ、隼人のそばにいよう。




隼人の前では絶対に泣かない。





隼人も頑張っているはずだから。








私は涙をこらえて隼人のお母さんと一緒に隼人のいる病室に向かった。


















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