ミーアキャット
『あの二人が転校生って紹介されたとき
私あの女の子は知ってた』
「じゃぁ麗央の方は知らなかった?」
『そう。名前も知らなかったし
双子だってことも知らなかった』
「じゃぁ言いかけてたことって」
『私あの人、麗華って子は知ってるよ
って言おうとしてた』
少し顔色の戻ってきた美夜は
頭をなでる俺の手に擦り寄る
『あの人前に話したことあったの』
「どこで?」
美夜は普段同じ歌手をしている人すら
顔を覚えている人は少ない
そんな美夜が麗華を知っていた
『テレビ収録の時偶然トイレであった
その時に呼び止められて
〈あなたがミーアキャット?〉
っていかれたからそうですって答えたの』
少し前のことだったからなのか
美夜は思い出すようにして目を閉じた
美夜の記憶を俺もゆっくり聞いていた