ミーアキャット





懐かしむように
その頬は緩やかに上がる



「あのころの俺は
まだまだ半人前で自分が
父親になるなんて想像も
出来なかった。


そんな覚悟のない俺に
追い打ちをかけるかのように
自分の妻とこれから生まれてくる
最愛の娘を天秤にかけた


俺にはまだ目に見えない
娘より何よりも愛していた妻の方が
重かったんだ」



今の漣さんからは想像もつかない
昔の漣さん


漣さんは誰がどう見たって
美夜のことを自分以上に
大切にしているし
限りない愛情を注いでる




「何かあれば赤ちゃんではなく
妻の命をってそう考えてた


でもそんな俺の弱さを彼女は
笑って吹き飛ばした。

『私はちゃんと生きてこの子に会うから
万が一なんて絶対にないわ。

この子が自分の夢をもって
好きな人を作って
立派に成長していく姿を
私は見たいわ。

この子が生まれた時が
私が母として生まれる日なの

母として一緒に成長していきたい』


って見たこともないような
キラキラした笑顔を見せた」



あぁやっぱり美夜は
漣さんに似ている









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