豹変カレシのあまあまな暴走が止まりませんっ!
「食べに行くんですか!? いいなぁ!」

チョコレート! ブリュレ! ビスケットパンケーキ――って何? なんだか良く分からないネーミングだけど、全部美味しいんだから合わさって不味くなることはないだろう。

私が興奮してぴょこぴょこ身体を震わすと、それを見た木嶋さんはあははと笑って、でもみるみるうちに表情が暗くなっていった。

「ただね。行列がすごいらしいんだ。平日は二時間。休日に至っては三時間!」
「三時間!? それはしんどいですね」
「俺、女の子のたちの行列に独りで三時間並んでる自信ないよ……」

しょんぼりとうつむく木嶋さん。「仕方ないから、ほとぼりが醒めて行列が無くなるまで待とうかな……」そう言ってため息をつく。
うう。未知のスイーツが目の前にあるのに我慢しなきゃならないなんて。
辛い! 辛すぎる! 共感しよう、同じスイーツ好きとして、耐え難い苦痛だ!

「諦めないでください! 木嶋さん!」

私は木嶋さんの、お砂糖四杯入りカフェラテを持っていない方の手を拾い上げて、両手でぎゅっと握りしめた。

「食べましょう! 生チョコブリュレビスケットパンケーキ! 私も一緒に行列並びますから! 二人だったら三時間なんてすぐですよ!」

「水城ちゃん……」
木嶋さんの瞳が、うるっとした。

「ありがとう水城ちゃん! 一緒に頑張ろう!」
「木嶋さん! 絶対一緒に食べましょうね!」

かくして。
週末の土曜日。私と木嶋さんは日本初上陸の生チョコブリュレビスケットパンケーキを食しに三時間待ちの行列へと並ぶことになった。


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