豹変カレシのあまあまな暴走が止まりませんっ!
「お、おはよう……」
「……おはよう」

玲の視線が、私の頭の上から足の先までをするりとなめた。

うあ、完全にファッションチェックしてるじゃん。

きっと、いろいろ思ってるに違いない。色がおかしいとか素材がおかしいとかシルエットがおかしいとか突き出た腹の肉がおかしいとか、いや、もうここまでくると今の私に解決出来る問題ではなくなってきてしまうんだけれど。

笑顔を引き攣らせながら軽く青ざめる私。

が。

玲は挨拶だけ交わすと、無言で私の横を通り過ぎていった。

え?
スルー?
なにそれ。気持ち悪い。
いつもの『酷い』とか『似合わない』とかそんな罵声はどこ行っちゃったの?

「玲!」

思わず呼び止めると、玲は昇りかけの階段の上で足を止めた。

「なんだ?」
「あ、の、」

いつも通りのようでいつも通りではない玲に、思わずしどろもどろになる私。

「……今日の服は、どう思う?」

恐る恐る聞いた私に、玲はちょっと眉をしかめて、一言。

「いいんじゃないのか」

え? いいの? 本当に?
喜びかけたのも束の間。

「まぁ、俺ならもう少し全体のバランスを考えるが」

……て、やっぱ文句あるんじゃん。

けれど、今日の玲は、やっぱりいつもとちょっと違ってた。
今までにない一言を付け加えたんだ。

「相手のことを想って選んだ服ならば、間違いではないだろう」

玲が、ちょっと悲し気な目をした。
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